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閑話

ボクの家には地下室がないしカーヴ(ワイン蔵)もない・・勿論

だからマルは・・ワイン蔵に住みつく鼠を見張ってる猫じゃない

マルが見張ってるものがあるとしたら・・それは?


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今回は・・閑話休題の前の閑話

つまり・・余談・余話

それじゃ次は・・本題に入るのかな?



Where is Merry ?

「メリーはどこに行ったんだ?」

客もまばらな店でグラスを拭いていたYにオレは聞いた

Y's Bar
メリーが毎晩カウンターでダイキリを飲んでいた店だ

メリーは3ヶ月前にYの店に現れた
メリーが1週間もYの店に顔を出さないのは初めてのことだった


彼女のことは多くを知らない
どこから来たのか?
年齢は?
仕事は?
住んでいるところは?
オレは知らない

オレが知ってるのは・・

髪の色
瞳の色
歩くと揺れる黒い髪
前髪をかきあげる仕草
笑ったときの目尻の小皺
すねたときの頬のふくらみ
足を組んだときのふくらはぎのライン

そして・・あの声
酔うと歌う・・あの声
しゃがれてるのに・・どこまでも伸びる高音
床を這う低音
自在に変化するメロディとリズム
ブルースじゃない・・ファドでもない・・メリーの歌だ

そして・・あの声
酔うと話す・・あの物語

彼女が行った国で見聞きした話だという
どうせ作り話だろうが・・物語としての出来は良かった
なにより声と訛りと言葉のリズムに引き込まれた

ラピュタという天空の島
多くの兵士が隠れた巨大な木馬
鯨の腹の中で恩人と再開した木の人形
風車に戦いを挑み突進していった騎士
ピサの斜塔から重い球と軽い玉を落とした科学者
ブルネットの髪をブロンドに染めたノーマ・ジーン
天国への扉を叩いたロバート・ジマーマン
そして・・苺畑で遊ぶ少年


Yが語り始めた
メリーが世界中を旅しているのは・・
歌と・・物語を拾い集める旅なんだ

苺畑で遊んでいた英国生まれの少年は・・1980年12月8日
40才のときに・・NYCから忽然と姿を消した
メリーは噂を聞いた
男は・・この町にいる
男は・・画家となってこの町にいると
だから・・メリーはこの町に来た
その男の・・歌と物語を聞くためにだ


メリーはもう・・この町を去り旅の起点の地に戻ったのだという
彼女がいくら探しても・・男は見つからなかったからだ


「メリーの旅の起点・・それはどこなんだ?」

「ここからは遠い・・もう忘れるんだな彼女のことは」

「いいかY、オマエの無駄口は聞きたくない
 オレがオマエに聞いたのは・・メリーはどこか・・だ」

「グアヤキル・・南米エクアドル最大の都市だ」

「・・・・・」

「知ってるか? スペイン語で赤道はEcuadorだ
 エクアドルは、この国を通る赤道が国名になったんだ
 赤道は自転のおかげで地上で1番速く動いている土地
 だからロケットの打ち上げに向いている・・燃料が節約できるからな」

「それがどうした・・?」

「彼女は赤道を起点に移動する女だ・・そしてグルグルと世界中を回る」

「・・・・・」


Yの話は続いた

エクアドルに行くのは止めろ・・彼女とは会えない
彼女がこの町に来たのは・・あの男を探すためだ
彼女がオマエに近づいたのは・・オマエが歌も物語も持たない不思議な男だったからだ

いくらオマエがメリーに近づいたって無駄さ
彼女はオマエから離れて距離をとる・・もうオマエには近づかない
そして・・
彼女はオマエの周りをグルグルと回るだけだ・・
そして・・オマエはそれを見ているだけだ
まるで回転木馬に乗ってグルグル回っいる彼女を見るように

オマエは彼女に触れることはできない
彼女と同じ馬には乗れないんだ・・


オレはYの話を遮り・・ヤツの鼻先に右手の人差指を突き出した

「いいかY、オレが聞いてるのは彼女がどこにいるか・・だけだ
 オレが彼女を見つけた後に・・
 どうなるかなんていうオマエの意見は必要ない」


オレは決めた
事務所の机にはパスポートが入ってる

探偵稼業のオレにとっちゃ初めての国なんて1杯目の酒みたいなもんだ
飲まなきゃ・・何も始まらない

" 探偵は職業じゃない・・生き方なんだ "
そう、これがオレの生き方なんだ

オレは決めた・・彼女を探す
オレは決めた・・彼女をみつける
音楽と物語を探し・・世界中をグルグル回っているメリーを!


彼女が笑いながら囁く声が聞こえたような気がした・・

「 わたしは・・Merry-Go-Round 」



その時だ
カウターの端から男が席を立つ音が聞こえた

「そこに置いてあるギターをくれ・・今夜はオレが歌う」

カウターの端でアイリッシュ・ウイスキーを飲んでいた男
男はアコースティック・ギターを弾いて歌い出した

『ダーリン、お願いだダーリン、ボクのそばにいてくれ・・』

70才過ぎかと見える痩せて・・眼鏡をかけた男だ

名前は確か・・「オノ」だった


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山下達郎 「メリー・ゴー・ラウンド」



【蛇足】

マルはMacの前に座ると・・
ボクと共有しているDropboxフォルダから原稿ファイルを開いて校正を始めた。

「ふーん。今回はこういう展開ね・・いいんじゃないこれで」

「・・・・・・」

「よし。遊園地に連れっててくれ・・オレもグルグル回りたいんだ」

「無理だ・・ペットは入場禁止だ」

「オレはペットじゃない・・オレはオマエに付随した存在じゃない。
 オレは自立した存在だ。
 オレには自我がある・・アイデンティティーも確立している独立した存在だ」

「・・・・・」

「思想信条的には・・右でも左でもない・・中道でもない・・
 かといってアナーキストでもない・・
 どこにも属さない独立した猫なんだ」

「だったら・・自分だけで行ってくればいいだろ」

「オレだけじゃ・・入場券を売ってくれない」


A Towel

'13-09-01 15:30
ヘアサロンにいた

大きな鏡の前に座って髪をカットしてもらっていた

気になる時間がそろそろ始まる

カットが終わった

いつも担当してくれるスタイリストの男は
軽快なリズムで・・ボクの髪をロッドに巻き付けていった

気になる時間がそろそろ始まる
少しの憂鬱

1本のタオルが・・ボクの頭に巻かれる
これから髪にかけるパーマ液が・・顔に流れないようにせき止める
土嚢・防波堤・・の役目のタオルだ

ヒモ状に丸めたタオルを後頭部から巻き付け
タオルの両端を額のところで輪ゴムで結ぶ

魚屋のオジサンのねじりはちまきとはちょっと違う雰囲気

いつものことだ・・

ボクはそんなに多くの店に入ったことはないが・・必ずタオルを巻かれる
盛岡中でみられる光景だ
多分
もしかすると全国的にみられる光景かもしれない
メイビー

輪ゴムで結ばれたタオルの両端は・・額の前に突き出される

長い太巻き寿司のようなタオル・・じゃない
神社のしめ縄の両端をそろえたよう・・とも違う

八百屋のオジサンのねじりはちまきとは違うモード


店内には軽快なジャズが流れていた


ボクの憂鬱が幕を開けた

店内に流れるジャズから・・音楽が変わらないかとビクビクした
もし流れる音楽が変化したら・・ボクはどう対応したらいいんだ?

あの南の島の音楽
北に住むボクでも身体の中心から細胞が揺れ・跳ね・わきたつ音楽
「レ」と「ラ」を抜いた「「ドミファソシド」の独特の音階
四拍子に二拍子や三拍子が入る独特の変拍子


輪ゴムで結ばれたタオルの両端は・・額の前に突き出されている


ボクは毎回パーマ液をかける前に巻かれたタオルを見ると・・
額の前に突き出されたタオルの両端を見ると・・
沖縄民謡・・エイサーを・・太鼓を叩きながら踊る男性の・・
頭に巻かれた布の独特の形を連想してしまう


「イーヤーサーサー! ハイヤー! サーサー!」
大音量の掛け声とともに沖縄民謡の演奏が始まった・・ら、どうする?

ボクは踊らなきゃいけないんだろうか?
無理だ!
ボクにはできない

ボクは・・鏡に写るタオルを巻かれた顔から目を逸らした
いつもの・・ボクの憂鬱
タオルを巻かれて目が吊り上がった顔が恥ずかしい


みんなはどうしてる?
誰も踊ってなんかいなかった

誰かが・・タオルを頭に巻いたボクを見て笑ってないか?
誰もボクなんかみていない
みんな鏡の中の自分だけを見ていた

まるで・・これが大事なルールなんだ・・とでもいうように
鏡の中の自分だけを見ていた

ヘアサロンのルール No.1
「鏡の中の自分だけを見ているんだ
 よそ見してたら・・ロッドに隠れている悪戯好きの妖精が
 髪に変なウェーブをつけちゃうからね・・クルクルクルリン・・」
受付カウンターの上にはルール・ブックが置いてある・・かも

「大海を割りエジプトを脱出し・・
 このヘアサロンに集いし者たちよ
 汝、鏡の中の自分以外を見ることなかれ」
戒めが刻まれた石板が店の倉庫に保管されている・・かも

ルールを守らず・・戒めを破り・・
鏡の中の自分から目を逸らしてるのは・・ボクだけだ
プロバブリー


突然だった
店内に迫力のある打楽器と弦楽器の音が鳴り響いた
Hi-Fiだ・・
いや原音だ・・
そうライブ演奏だ・・

甲高いの指笛の響きと同時に大きな声が聴こえた
「イーヤーサーサー! ハイヤー! サーサー!」

そんなー・・無理だって・・オレは踊れないって・・

「イーヤーサーサー! ハイヤー! サーサー!」


過ぎゆく夏の背に声をかけるように・・

イーヤーサーサー! ハイヤー! サーサー!
イーヤーサーサー! ハイヤー! サーサー!
イーヤーサーサー! ハイヤー! サーサー!


Summer is gone

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上々颱風 「銀の琴の糸のように」



【蛇足】

クルマから降りて運転席のドアを閉め
ウインドウに写る自分を見た
brand -new hair 
フフッ

玄関を開けると聞き慣れない音楽が聴こえてきた

リビングに入ると・・マルが踊っていた
ボクサーのようなトランクスを履き
左右の後ろ足には・・足首から足甲を覆うサポーターをつけていた

後ろ足で立ち・・前足を上下させ・・身体をくねらせて踊るマル
ムエタイの選手が試合前に踊る「ワイクルー」だった

マルは頭にタオルを巻いていた
輪ゴムで結ばれた・・タオルの両端が突き出ていた
タオルの両端は額の前じゃなく・・頭の後ろで結ばれていた


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